銀のエトコリア

2016-11-20

ドアの向こう(騎士が花嫁) - 診断メーカーSS

event_note11月 20, 2016 editBy Kyrie forumNo comments


Twitterの診断メーカーって面白いですよね。
中には「この発想は私にはなかった」というものがあります。

先日やったのが面白かったのと、アイディアをいただいたのでSSを書いてみました。
どこに載せるか迷いましたが、ムーンさんに載せるのはどうかと思い、ブログに載せることにしました。

【注意】
※ユルく読める人向き。遊び要素大。
※状況。リノ、まだ肋骨骨折の療養中。ジュリアス、騎士の訓練再開。二人ともクラディウスの屋敷にいる。インティアも屋敷に来ている。




問題のツイートはこちら。


これ、うっかり4RTもされてるの。

さて、ここから本編が始まります。




「ドアの向こう」



ジュリアスが訓練から戻り、リノとの部屋に入るためにノックをしようとして手を止めた。
中から声がしたからである。

「じゃ、じゃあ、するからね」

リノ?
誰か来ているのか?

ジュリアスは思い当たる来客がいないため首を傾げながら、しばらく中の様子をうかがうことにした。

「ほ、ほんとにするからね。
いい?」

なにをしているんだ、リノ?

「い、いくよ。
…………
だめぇぇぇぇっ!
もう、目を閉じていてよ!」

目を閉じる…??

ジュリアスの眉間にしわが寄った。

「恥ずかしいじゃん!
目、閉じて!」

恥ずかしい?
目を閉じる?

眉間のしわはますます増え、そして深くなっていった。

「っても、目閉じられないか…。
じゃあ、俺が手で塞いでいてあげる。
もう一回、行くよ。
そんな目で見てもだめ!
キスするのに目を開けたままって、照れるじゃん!」

キス?!
リノ!!!

「旦那様!」

ジュリアスはノックもせずに部屋に入るとソファにいたリノをがばっと抱き寄せると強引に唇を重ねた。
突然のことにリノは驚き、逃げようとして暴れたが、相手がジュリアスだとわかると力を抜きジュリアスのシャツにしがみついて激しい口づけを受けた。
苦しくなったり、気持ちよくなったりして、時々リノのうめき声が漏れる。
酸欠でくらくらし、薄っすら目を開けるとジュリアスは目を開いたままだった。

見られてる!

リノは途端にますます恥ずかしくなって身をよじった。
しかしそれくらいではジュリアスから逃れられるはずもなく、されるがままになっていた。

妖しい水音が響き、口元がべとべとになり、リノが立っていられなくなってずるずると崩れ落ちそうになってやっと、ジュリアスは唇を離した。
リノは酸欠でもあり、床に崩れている。
ジュリアスはようやく冷静になり、リノを横抱きにするとそっとソファに横たわらせ、口元を清潔なハンカチで拭いてやった。

「…ジュ、ジュリさん…?」

リノは目まいが残ったまま、とりあえず妻の名を呼んだ。

「…どうしたの?
なにかあったの?」

「旦那様こそなにをされていたのですか?」

「…え」

「私に言えないことですか?」

「あ」

ジュリアスは鋭い視線を部屋中に走らせる。
人の気配はない。
ただソファの足元に見慣れない赤いもの。
ジュリアスはそれを拾い上げた。

少し目まいが治まったリノが赤いものを見て、自分も赤くなった。

「ぬいぐるみ、ですか?」

「そ、そうだよ」

「どうされたんです?」

「インティアが持ってきたんだよ。
ジュリさんに似てるだろ、って…」

「確かに赤いくまですから、私に似てるかもしれませんね」

「それで、くまを相手にキスの練習をすればいい、って…」

ジュリアスは真っ赤になっているリノを見下ろした。

「それで旦那様は素直に練習をしていたんですか?」

「う、うん…」

「上手くなりましたか?」

「だめ。
だって、くまは目ぇ開けたまんまなんだよ!
恥ずかしいじゃん!
照れるじゃん!
だから俺の手で目を隠してキスをしようとしたら…」

「私が入ってきた、というわけですね?」

「…はい」

「わかりました。
旦那様、練習は私でしてください」

「は?
いやいやいや、それだと意味がないというか」

「ぬいぐるみとキスがしたいんですか?」

「そうじゃないけど、カッコいいキスができるようになってジュリさんにしたいな、って思ってるから」

「その練習は私にしてください」

「そんな」

「旦那様はいつでも格好いいですよ。
ほら、早く」

ジュリアスはソファに座るリノの前に顔がくるように床に膝立ちになった。

「あ、いや、これって練習じゃないじゃん」

「私とキスするのはいやですか?」

「それはないです!
ね、ジュリさん、隣に座ってください」

「え、でも」

「早く!」

ジュリアスは素直にソファのリノの横に座った。
リノは両腕を広げジュリアスに抱きついた。
そして自分がソファに膝立ちになりジュリアスに短いキスをした。

「おかえり、ジュリさん」

それはいつものおかえりのキスだった。

「こっちがまだだったでしょ?
俺、カッコいいキスもしたいけど、まずはジュリさんが帰ったらおかえりのキスがしたいです」

ジュリアスもチュッと軽い音を立ててキスをした。

「ただいま帰りました、旦那様」

そうして二人は嬉しそうに笑い合った。


その日の夜、リノとジュリアス、そしてくまのぬいぐるみはジュリアスのベッドに一緒に入っていた。

「ね、ジュリさん。
もしかしてこのくまに妬いた?」

「さあ、どうでしょう」

「妬かなくてもいいのに。
ジュリさんが一番だよ」

リノはくまをベッドのそばのチェストの上に置いて、ジュリアスを抱きしめ、小さくキスをした。

「私も旦那様が一番です」

「ふふふ、嬉しいなぁ」

そこで会話が途切れ、しばらくすると静かな寝息が聞こえてきた。


おわり








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